軽減税率 谷垣氏、埋まる外堀 官邸、参院選にらみ押し切る
産経新聞 12月10日(木)7時55分配信
平成29年4月の消費税再増税と同時導入する軽減税率をめぐり、自民党が対象品目を加工食品にまで広げる方向にかじを切った。来夏の参院選での選挙協力をにらみ、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は公明党に譲歩。自民党の二階俊博総務会長も首相官邸や公明党と歩調を合わせ、財政規律を守る観点から抵抗する谷垣禎一幹事長らの外堀は埋まっていった。
「ねじ伏せますから」
二階氏は9日午後、公明党幹部に電話で、こう告げた。ねじ伏せる相手とは、谷垣氏だ。28年度与党税制改正大綱の取りまとめを翌日に控えても、いっこうに軟化しない谷垣氏を説得できる自信があることを伝えたのだった。
二階氏は今月1日に公明党の漆原良夫中央幹事会長、太田昭宏前国土交通相と会談。そこで衆院選で公約に掲げた軽減税率を広範囲に導入しなければ、「嘘つきと毎日言われる」と漆原氏らがこぼし、連立離脱をにじませた。谷垣氏に同調していた二階氏も危機感を大きく募らせたようだ。
谷垣氏の外堀は首相官邸からも埋められた。安倍晋三首相と谷垣氏が9日、官邸で会談した際、同席した菅氏は「これで参院選に責任が持てますか」とまくし立て、公明党の主張を受け入れるよう求めたという。谷垣氏は会談後、記者団の問いかけに一切答えず、硬い表情で官邸を後にした。
菅氏は公明党の支持母体の創価学会幹部と太いパイプがある。今回の協議をめぐり、学会幹部から「公明党が納得できる制度を導入できないなら、次期参院選で自民党候補への推薦をやめる可能性もある」と厳しく迫られたという。
自民党は25年の参院選で勝利したが、「野党と数万票差の接戦を制した選挙区が多かった」(党選対幹部)ため、菅氏らも学会票を失うことへの危機感を強めていた。
財政規律を守るため、軽減税率の財源について「社会保障と税の一体改革」の枠内で捻出するよう指示していた首相の脳裏にも、第1次内閣で政権を失ったのは、参院選での敗北が引き金だったことがよぎったのかもしれない。敗北すれば、悲願の憲法改正が遠のくどころか、再び政権を失いかねないのだ。
二階氏は9日、軽減税率の対象品目拡大について、自分に言い聞かせるように周囲に漏らした。
「公明党に選挙で協力してくれということだ」
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유시문 기자 다른기사보기